第321章

「ありがとう。君も、今日は悪くない」

 両親のそんな仲睦まじい様子を見て、ククは心から嬉しくなった。

 お姫様のようなハーフアップの髪型に、可愛らしいドレス。右手は望月琛、左手は前田南と繋ぎ、その小さな顔には満面の笑みが溢れている。

「パパ、ママ! ククね、いま世界でいっちばん幸せな子供だよ!」

 ククの満足げな表情を見て、前田南も優しく微笑んだ。心中には僅かな無力感が漂っているが、子供の健やかな成長のためなら、これくらいの演技は耐えられると自分に言い聞かせる。

 その完璧な家族像に、傍に控えていたスタッフたちも羨望の声を漏らさずにはいられなかった。

「望月様と奥様、本当にラブラ...

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